コクヨ株式会社 「自発的に動ける環境を作る事がポイント」
第2回
コクヨ株式会社
人材開発部
ダイバーシティー推進リーダー
赤木 由紀さん
「成功のポイントは社員が腹落ち(共感)をして自発的に動ける環境を作る事。改善しているという見える化が重要。」
創業者の黒田善太郎氏の「商品を通じて世の中の役に立つ」との経営理念を持つコクヨ。ホワイトカラーのオフィス環境の改善や事務用品を通じてエコや働き方の見直しを提案、ユニバーサルデザインにも注目した事業を展開。日々社員が活き活きと働ける環境づくりに動いておられる人材開発部 ダイバーシティー推進リーダーの赤木由紀さんにお話しを伺いました。
――ダイバーシティー推進活動を始めたいきさつをお教えください。
コクヨグループを今後さらに発展させていくためには、多様な能力を持った社員がそれぞれの能力を十分に発揮し、活き活きと働けるよりよい環境と風土が重要であるとの認識の下で、2007年8月、コクヨ株式会社代表取締役黒田章裕を委員長とした「ダイバーシティー推進委員会」を発足させました。弊社では2000年から総合職として男性・女性の比率がほぼ50%で採用を行ってきています。それから数年が経過して、当時入社した社員が会社の要になってきており、販売・開発はもとよりあらゆる分野において重要になっています。ところが特に女性においては結婚、出産、育児の時期を迎え第一線を支える人材が辞めないために女性のダイバーシティー、ワークライフバランスを導入しようという事になりました。トップも人材の流出には危機感を持っていました。また会社としても現場で働く社員の気づきと自発的な実践が不可欠と考えていて、会社全体で取り組むこととなりました。
このようないきさつでしたので最初は「女性活躍推進」という名目で旗を振って動こうと思い、対象となる30名の女性にヒアリングを行いました。結果は意外なもので、女性を特別扱いしないでほしいというと言われ、切実な問題は男性を含めた長時間労働であるとの結論からこのプロジェクトがスタートしました。なお、ヒアリングには外部のコンサルタントにご協力頂きました。
――導入はどのように行われましたか?
当初の企画した「女性活躍推進」では、制度があっても利用しづらい風土ができてしまうとか、女性社員だけにフォーカスを当てると推進が難しいのではないかと思い、「ダイバーシティー推進委員会」として2007年の8月に発足をしました。
グループ会社10社から各2名(人事担当&リーダ)と委員長の黒田社長で、総勢21のプロジェクトでスタートしました。私が事務局を専任で担当しました。
まずはビジョンの作成。どのような人がどのような時でもイキイキと活躍していい仕事ができる環境作りを目指すとし、【誰もがどのような時でもイキイキ活躍、良い仕事】のスローガンを作りました。
――具体的な施策と実施した感触はいかがでしたでしょう?
大きくは4つの項目に注力しました。
◆ダイバーシティーに取り組む意義の共有
・特に管理職への意識改革
◆制度構築・浸透
・短時間勤務などの導入(育児、介護)
◆女性活躍支援
・管理職の数の増加、キャリア開発。現在、女性の役員はいない
・ワークライフバランス
◆ワークライフバランス
・働き方の見直しプロジェクト
具体的には、ダイバーシティーを推進していくためにはワークライフバランスの実現が不可欠と考え、ワークライフバランス推進セミナーを実施しました。管理職だけでなく、全社員の理解を深めました。出産・子育てなどのライフイベントが多い30代女性社員を対象にWomen'sワークショップを開催。自分の人生・キャリアのありたい姿を描いた上、本音のディスカッションを行っています。ワークライフバランスの実現では働き方見直しプロジェクトを実施しました。
体制ですが、人材開発部(人事)の主導で行っています。私が専任で全体をみています。グループ会社特有の施策は各社で行っている状態です。私としてはスムーズに導入できたのではないかと思います。私の上司である人事部長もトップと同じく危機感を持っており、またダイバーシティーの意識が高く、推進してくれました。
――成功のポイントはどの辺でしょうか?
現在も、弊社ダイバーシティー推進の具体的活動は進行中ですので、そのためよりよい成果を求めて活動中です。
私は以前、人事関係の仕事をしていましたが、直接ダイバーシティーやワークライフバランスに絡んだ仕事をしていたわけではありません。コクヨが女性活躍推進プロジェクトを立ち上げるという事で転職をして、今の仕事をしています。企業がそのような業種を採用するというのは時代が変わってきたのだと思います。企業として社員一人一人が活き活きと働ける環境を構築し、社員が会社に成果を還元するような考え方になってきたのだと思います。
ただ、私はこれを一過性のものとしたくはありませんでした。そこで目先のものを追い求める手法ではなく、時間がかかりますが社員が腹落ち(共感)をして自発的に動くことが重要と考え意識改革にこだわって施策を考えました。またワークライフバランスですが概念などは理解ができるがどうやったら実感できるかがポイントと考え、「働き方見直しプロジェクト」を立ち上げ、推進しました。結果は良好で長時間労働の改善や社員の意識改革を行えました。またいろいろなメディアにも取り上げて頂きました。今ではグループ各社に展開をしています。
「働き方見直しプロジェクト」を企業改革のスタートにした事は良かったと思っています。ワークライフバランスが実感できたこと、また改善が目に見える形で現れ(見える化)地道な改善にも社員が疲れずに進んで行けたと思います。
そういうところを見ても、力を入れたポイントはやっている本人達への分析結果のフィードバックと粘り強い現場支援でしょうか。自分達が実施したことが何らかの形で改善されていくというのを見えるようにするのは重要だと思います。
それから、プロジェクトは6ヶ月の期間に区切って実行しました。3か月経過時にレビューならびに中間報告をトップにも参加してもらい実施しています。6ヶ月後に評価を行い、次の施策を企画、実施して行くこととしています。
最近は直接、育児に関係ない人たちに対して意識改革やレクチャーやそれから介護が今後需要になりなるなどの話をするなどと広がりを見せてきています。活動をして思いましたが、若い男性も違和感を持っていませんね。時代が変わってきているなって実感しています。
――今後についてお聞かせください。
弊社ダイバーシティー推進をより深く浸透させ、意識改革を進めていきたいと考えています。例えばその中のひとつである「働き方見直しプロジェクト」は3年間をかけて取り組みました。これを全社へ展開し、定着させたいと思います。ただ、先にもありましたが早急な変革を推進するのではなく、ある程度の時間をかけて取り組む必要があると思います。
あと女性活躍推進は進めて行きたいですね。
弊社は新しい働き方を提案する企業として、ホワイトカラーの生産性向上をオフィス環境、ワークスタイルなどの側面でおこなって行きたいと考えています。そのためにはダイバーシティー推進は重要な施策と考えています。社内で実施、検証をしたものを提案して行きたいと思っています。
――今回はいろいろ貴重なお話をありがとうございました。今後のご活躍を祈念しております。
今回のインタービューを終えて、まず感じた事、企業理念が重要だと感じました。創業者ならびにトップが確固たる企業理念を持っておられ、その実現のために社員一丸となって動いている姿を感じました。だからこそ長期的ビジョンに立った時、事業が好調でも将来を予見し、今回のような施策、ダイバーシティー推進活動に結びついたと思います。
進め方ですが、先の全員参加型のNTTデータ様とは少し違い、タスクフォース型で導入したように感じます。ただそれがコクヨ様には合っており、また赤木さんの言葉にもありましたが"腹落ち感"(共感)を生み、その後の自発的な稼働につながって行ったのではないかと思います。
それから、最初に「働き方見直しプロジェクト」に注力したもの成功のポイントだと感じました。NTTデータ様のテレワーク&SNSと同じく、難易度が低くインパクトが大きい施策に注力する事がキーになるように思われます。またこの絞り方にもコクヨ様独自の動きがあり、30名の社員に外部コンサルタントと使ってヒアリングを行ったのも客観的に物事見ることができ広い視野に立って企画・立案を行えたのだと思います。これを遂行した赤木さんならびに経営陣の判断も素晴らしいと感じました。
ホワイトカラーの職場はオフィス。コクヨ様が企画、設計、構築をする環境です。これに働き方の提案も含まれると働きやすい環境が実現できると思います。ワークライフバランス導入を検討される際、制度だけでなく、環境や施策など広く検討して行くのも良いのではと思います。是非その際は、コクヨで。(ちょっとPRです。)

